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2017/07/31 (Mon) モーツァルト・イン・ザ・ジャングル シーズン1

mozart_in_the_jungle_s1.jpg


原題    Mozart in the Jungle
放送    2014年
話数    10話
製作国   アメリカ

ショーランナー ロマン・コッポラ/ジェイソン・シュワルツマン/アレックス・ティンバース/
        ポール・ワイツ
クリエイター  ロマン・コッポラ/ジェイソン・シュワルツマン/アレックス・ティンバース
原作      ブレア・ティンドール 『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル 〜セックス、ドラッグ、クラシック〜』

出演    ローラ・カーク
      ガエル・ガルシア・ベルナル
      サフロン・バロウズ


あらすじ
 一流の演奏家になることを夢見るオーボエ奏者のヘイリーは、ニューヨーク・フィルハーモニックの新指揮者であるロドリゴの元で世話係をしながら、日々腕を磨いていた。彼女の周りの人々は腕は一流だけど一癖も二癖もある性格の人間ばかりで、そんな彼らの人間関係に巻き込まれながら、初公演に向けてフィルは動いていく。





最終話鑑賞日 17年7月29日
鑑賞方法   Amazon Video
評価     3.5点


レビュー
 数々のコメディ映画に関わってきたチームによって作られた、アマゾンスタジオ製作の連続ドラマです。コメディなので1話30分でなおかつ全10話しかないため比較的短い作品ではありますが、その軽快なタッチがこちらを飽きさせない上手なつくりになっていました。

 ニューヨーク・フィルに関わる人々の人間模様を描きつつ、新指揮者ロドリゴの初公演に向けて物語は動いていきますが、アメリカのコメディドラマらしく、登場人物は非常に生き生きと動いてくれます。かなりの人数がいるため気を抜くと丸かぶりしているキャラクターも出そうなものですが、ほぼ全員がきちんと与えられた脚本上の役割を全うしています。
 もちろん物語の中核を担うのは主役のヘイリーとガエル・ガルシア・ベルナル演ずるロドリゴです。ヘイリーのキャラクター像は視聴者に共感を持って見てもらえるよう、バランスのとれた人物になっています。強気すぎず弱気過ぎず、かといって個性がないわけでもなく、中途半端な人間でもない。一世界に生きる(たまたまオーボエを5歳からしていた)一人の人間として確立されており、それが彼女の魅力になっています。
 反対にロドリゴはキテレツだが、チャーミングで才能に溢れ、視聴者を含め一度見たものを惹きつけて離しません。音楽的要素を除いてしまえば乱痴気騒ぎにしかならないようなエピソードでも、彼が絶えず燃やし続ける音楽への情熱がシーズン全体をパワフルなものに仕立て上げています。

 もちろん、全編を彩るクラシックの数々も忘れてはいけません。あの『のだめカンタービレ』と同様、通常であれば敷居が高いように思えるクラシック音楽でも、作中の人物によって語られ、時に主張がぶつかり合う様を見せつけられれば、否が応でも興味を惹かれます。強いて言うならば演奏をする場面がより多いと、このドラマの一番の魅力が発揮されたかもしれません。

 ただやはり、各人物を掘り下げるにはあまりにも時間が足りないことも事実です。彼らの行動原理やその理由などが明確に語られないことが多く、大した事ではなくてもこちらが勘ぐってしまうような話が見受けられました。キャラクターが魅力的な分、これについてはかなり残念でした。
 またロドリゴの妻である前衛芸術家が中盤から登場するのですが、彼女に関してはあまりストーリー上必要には思えませんでした。彼女の突飛な行動は、その存在を感じられるほどにリアルな他の人物たちからはあまりに浮いてしまい、急激に非現実感が増してしまうのです。その他にも、1話ごとのストーリーと全体を通したテーマがかみ合っていない場合があり、面白いけれども無意味な進行が多いのも目につきました。

 とはいえ多少問題点はあるものの、実在の交響楽団を舞台にしたことで得られるリアルとフィクションの均衡を保ち、納得のいくコメディとして完成されている点は評価できるでしょう。さほど長くもないので、興味がある方は是非ご鑑賞ください。

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2017/07/30 (Sun) カーズ

cars.jpg


原題    Cars
公開    2006年
上映時間  116分
製作国   アメリカ

監督    ジョン・ラセター
脚本    ダン・フォーゲルマン/ジョン・ラセター 他

声の出演  オーウェン・ウィルソン
      ポール・ニューマン
      ボニー・ハント


あらすじ
 乗り物たちが生き物として住む世界。新人レーサーのライトニング・マックィーンは「ピストン・カップ」での初優勝を狙うも、自分の独りよがりな性格が原因となり、他の2台と共に同率1位となった。後日行われる決定戦に参加するために急いでカリフォルニアへ向かうが、道中トラブルに巻き込まれ、ルート66沿いに位置するラジエーター・スプリングスに流れ着いてしまう。その町は時代の流れと共に人々から忘れられ、遂には地図からも消えてしまうような寂れた町だった。





鑑賞日   17年7月29日
鑑賞方法  Blu-ray
評価    3.5点


レビュー
 気づけばこの作品も10年以上も前の映画になっていることに驚きを隠せません。これが公開されることを知った時、「車を擬人化する」という突飛なアイデアが何とも奇妙に思えましたが、それが今ではディズニー内においても定番のキャラクターに。映画自体も続編やスピンオフが作られるほどに大きなフランチャイズになりました。

 さて現在、そのフランチャイズの足がかりとなったこの作品を改めて見ると、極めて王道と言えるストーリー構成が良くも悪くもこの作品を特徴づけていることがわかります。嫌味で友達のいない主人公が、暖かな人々(というより車々)との出会いを通じて勝利よりも大事なことを知る。いわゆるアニメにおける「定番」を崩してきたとされるピクサーにしては拍子抜けするほどシンプルなのです。

 決してこれがダメだと言いたいのではありません。むしろ生き生きとした各キャラクターの個性がよりはっきりと浮かび上がるので、各々が見せる掛け合いに思わず微笑んでしまうほどです。ギリギリ鬱陶しくないメーターや、イタリア車のルイジやグイド、ポルシェのサリーなど、皆バックグラウンドは違えど、町を愛し、非常に生き生きとした動きを見せてくれます。車になってもなお、最高に渋い演技を見せてくれるポール・ニューマンにも言及すべきでしょう。ドキュメンタリー作品を除けば、生前最後の出演作であったことを考えると、この映画の展開には胸を打たれます。

 またもう一つの主題である「時代の流れには逆らえない」という事実も、なかなかに奥の深いテーマです。近隣に高速ができたことで町に立ち寄る客がいなくなった現状を、住民の車たちは嘆きはするものの、それを決して否定するわけではありません。開発や人材の流出を単純に否定するのではなく、仕方ないものと受け止めた上でどう乗り越えていくのか。子供向けとは考えにくい「諦め」が、明るいキャラクターたちとの対比で一層際立つのです。

 しかしながらこういったピクサーならではの脚本づくりがあるにもかかわらず、本筋自体はやや冗長気味なのも事実です。舞台はほぼラジエーター・スプリングスのみで、そこで描かれることも実際のところは大筋に関係のないギャグシーンが大半。キャラを深掘りすると言えば聞こえがいいかもしれませんが、本当に示すべきテーマがその過程で薄まっていては意味が無いでしょう。
 それに関係し、レースカーが主人公にもかかわらず、レースシーンが最初と最後だけなのも何とも寂しい。今見ても遜色ないほどの迫力のあるCGで、手に汗握る展開を見せてくれるのだから、尚更そう思わされます。

 こういった脚本上の欠陥をいくつか抱えながらも、非常に丁寧な描写力と全体を彩るノスタルジアがそれらを上手くカバーしています。そして何より、10年以上経った今もこうして見ることができる以上、この映画が楽しい映画であることは認めざるを得ないのです。

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2017/07/28 (Fri) デアデビル シーズン1

daredevil_tv.jpg


原題    Marvel's Daredevil
放送    2015年
話数    13話
製作国   アメリカ

ショーランナー スティーヴン・S・デナイト
クリエイター  ドリュー・ゴダード
原作       スタン・リー/ビル・エヴェレット 『デアデビル』

出演    チャーリー・コックス
      デボラ・アン・ウォール
      エルデン・ヘンソン


あらすじ
 ニューヨークのヘルズ・キッチン出身の弁護士マット・マードックは、幼い頃事故に遭い盲目になったのと引き換えに超感覚を得た。治安が悪化するこの街で、昼は法律を手に弁護士として、夜は黒い覆面をし自らの拳で、日々悪と戦う毎日であった。しかし、彼の前に街を裏から牛耳る大物、ウィルソン・フィスクが立ちはだかる。





最終話鑑賞日 17年7月27日
鑑賞方法   Netflix
評価     3.5点


レビュー
 私は元々、映画に比べてドラマはほとんど見ることがありませんでしたが、ここ数年は以前と比べるとシーズン通して鑑賞することが多くなりました。せっかくなので、今後は1シーズン終わるたびにシーズン毎のレビューを書きたいと思います。

 早速、その一つ目はNetflixにおける、一番最初のマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の作品である『デアデビル』。原作コミックの中でも個人的なお気に入りであるクライムファイターが、連続ドラマではいかに調理されたのでしょうか。

 まず目を引くのは、映画やABCのドラマシリーズでは考えられない暴力性です。どう考えても子供向きではないその描写から、ネット配信ならではの自由度を存分に生かそうという製作陣の気概が伺えます。そもそも今回は最終話まで悪魔を模したあのコスチュームにはならず、ずっと黒装束のままという、フランク・ミラーの『マン・ウィズアウト・フィアー』の影響が存分に見て取れる時点で、そういった大人向けの表現は避けられないのですが。事実、この方向性は功を奏していて、ほぼ通常の人間と変わらないマットが痛みに耐えながら戦う様は本家映画シリーズでは絶対に見られない緊張感にあふれています。

 その戦闘シーンもまた、よく作り込まれていて見所満載です。非常にわかりやすい構図が多いため、黒装束という暗い映像では映えない服装でも、しっかりと何が起こっているか見ることができ、何よりかっこいい。目立った特殊能力がないヒーローにも関わらず、手に汗握る戦闘を繰り広げてくれるので、それがフィーチャーされるエピソードは往々にして面白いのです。

 ですが、話のペースに関してはかなり難があると言わざるを得ないでしょう。そもそもテレビで放映されることを想定していないため、各話でクライマックスを作る必要がなく、じっくりとストーリーを組み立てていくことができる点がネット配信ドラマの利点です。しかしそれがこのヒーローものでは裏目に出ているのです。
 主人公の行動原理により、話も裏表の2つが入り混じった構造になっています。まずは表向きの、フィスクとその一味によるヘルズ・キッチンを支配下に置くための土地の買収工作とそれを食い止めようとする話。そして、グレーどころか真っ黒な彼らの裏稼業の本陣に行き、手下を叩きのめすマットの話が2つ目です。通常であれば、後者の方に重点を置き、毎回黒装束で戦わせるところでしょう。当然、このドラマも序盤は見所満載の戦闘シーンのオンパレードでテンポも非常に良いのです。しかしながら、これが中盤になると前者のストーリーが中心に動いていき、一気にペースダウンしてしまいます。
 特に協力者のフォギーとカレンが絡むエピソードのダレ具合は凄まじいものがあります。同じ弁護士として活動するフォギーはコメディリリーフでもあるのでまだ良いとしても、素人のカレンが本筋に出てくると一向に話が進みません。彼女のキャラクターに腹が立つかもしれませんが、それを置いたとしても、彼女の行動により無理やり状況を悪化させるのは脚本上の都合としか思えないのです。特に終盤のエピソードの彼女の行動は納得しがたいものがあり、下手をすればデアデビル陣営を応援したくなくなっているかもしれません。

 このエピソードが進むたびに悪くなる状況をしっかりと支えてくれるのが、ヴィンセント・ドノフリオによるウィルソン・フィスク。MCUの映画シリーズで一番の問題点は大概敵にありましたが、今回はその真逆です。おそらく、MCU史上最も複雑で魅力的な敵のキャラクターに仕上がっています。彼はコンプレックスと言えるほどに愛情を欲しながら、自らの調和を乱すものには一転して過剰なほどの暴力を振るいます。絶対に打ち倒すことのできない強大な壁でありながら、その内面は脆く崩れやすいのです。彼が感情を吐露する場面は、必死に自分の弱さを押し殺そうとする彼の切実さが手に取るように伝わり、気づいたらフィスクを応援していること請け負いです。彼だけが、ネット配信で作られる恩恵を存分に受けた存在とも言えるでしょう。

 1話1話を見ていくと耐えがたいぐらいのエピソードもありますが、改めて全体を通して省みると、連続ドラマという枠組みにおいてよりドラマティックなヒーローものを提示したのは間違い無くこれが最初なのです。(ある展開を除けば)小さな登場人物含め、コミックに忠実にできている点も評価できるでしょう。そしてやはり、マットとフィスクたちが直接やりとりする場面からは目が離せないのです。
 もう一度見直すには根気がいるかもしれませんが、初めて見る分には間違い無く、MCUの新しいヒーローとしてデアデビルを迎え入れることができるでしょう。

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2017/07/19 (Wed) 不眠症

insomnia_norway.jpg


原題    Insomnia
公開    1997年
上映時間  95分
製作国   ノルウェー

監督    エーリク・ショルビャルグ
脚本    エーリク・ショルビャルグ/ニコライ・フロベニウス

出演    ステラン・スカルスガルド
      スヴァーレ・アンケル・オースダール
      ビョルン・フローベリ


あらすじ
 北極圏に位置するノルウェーの街トロムソで、17歳のターニャという女生徒が殺害されて見つかった。母国のスウェーデンで不祥事を起こしノルウェー警察に異動したエングストロムと、その相棒ヴィクは捜査に当たることに。証拠品を餌に犯人を追い詰めるも、エングストロムは犯人と勘違いをし、ヴィクを誤射し殺してしまう。罪悪感にさいなまされたエングストロムは、白夜の続く街で眠りにつけないまま、犯人との接触を試みる。





鑑賞日   17年7月19日
鑑賞方法  DVD
評価    3.5点

レビュー
 ノルウェーの、それも北極圏という日本とは全く異なる環境下での刑事サスペンスです。主演は、近年マーベル作品などの超大作にも顔を出しているスウェーデン俳優のステラン・スカルスガルド。クリストファー・ノーランによるリメイク版『インソムニア』の方が何かと有名ですが、向こうにはない独特の緊張感がこの作品をユニークにしています。

 相棒を間違えて殺してしまい、その罪悪感から不眠症となる主人公ですが、劇中ではその罪を隠すために様々な隠蔽工作を繰り広げます。通常であれば浅はかで同情の余地もない行為ですが、不思議なことに彼の性格の不完全性が人間らしさにより厚みを持たせているのです。自分よりも若い女性を相手にすると、すぐに表には出なくとも、一体何を考えているのかはこちらには一目瞭然。スカルスガルドの程よい中年具合(この当時は40台後半)と、じっとりと渦巻く情念が絶妙にリアルなのです。主人公自身、そういった部分では犯人と大差ないことを自覚しており、それが物語の展開および彼の葛藤に大きな影響を及ぼしています。

 また、ひとつひとつの舞台設定も非常によく作り込まれていて、北欧ならではの描き方を見ることができます。スウェーデン人の警部がノルウェー警察に出向ということが実際にあり得るのか詳しくはわかりませんが、外国人である彼の警察内での位置付けなど、物語の大筋とは関係ない部分も大事にされていて、より現実感のある構成に寄与しているのだと思われます。

 ただ欠点がないわけではありません。例えば重要な要素である白夜と不眠症の描き方は、見ている側には意外と伝わりづらいのです。主人公の精神状態を露骨な映像で映し出すのは陳腐になってしまうからかもしれません。しかし内面にフィーチャーしているからこそ、時間の流れが悪い意味で掴みづらくなってしまい、彼の疲労感やストレスが見えてこないのです。
 さらに犯人の人物像が見えてこない点もマイナスとして挙げられるでしょう。主人公にフォーカスするあまり、犯人像は極めて薄く、言ってしまえばありきたりになっているのも事実です。セリフの少なさが裏目に出ている場面もいくつか見受けられました。

 とはいえ、男女間のゴタゴタというベタな事件が、陰鬱とした曇り空の中、静寂なシーンで切り取られることで、見事な心理サスペンスへと昇華されていることに違いはありません。一度は見て欲しい、そんな映画でしょう。

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2017/07/05 (Wed) フォロウィング

Following.jpg


原題    Following
公開    1998年
上映時間 70分
製作国  イギリス

監督   クリストファー・ノーラン
脚本   クリストファー・ノーラン

出演   ジェレミー・セオボルド
     アレックス・ハウ
     ルーシー・ラッセル


あらすじ
 ビルと名乗る作家志望の男は、職もなく、日々やることといえば興味を抱いた人間を尾行する変わった趣味であった。だがある日、尾行相手に決めた男に尾行がバレてしまう。その男はコッブと名乗り、空き巣を生業としていた。言われるがまま、彼の仕事についていくことにしたビルは、次第にある事件の渦中に飲み込まれていく。





鑑賞日  17年7月5日
鑑賞方法 DVD
評価    3.5点


レビュー
 前回のレビューからほぼ2年ぶりのレビューです。その間、数々の名作映画に出会い、また一段と映画のことが好きになりました。私自身、2年の間にたくさんの出来事がありましたが、その話はこのブログの趣旨と異なるので割愛させていただきます。もし機会があれば、レビューを書き逃している映画も含め、再度レビューをしていけたらなと思っています。限られた時間の中、なかなか難しいことだとは思いますが、自分の成長とともに印象が変わっていくところも映画の醍醐味であるかと思うので、努力して参ります。

 さて早速その復帰一つ目のレビューとなるのは、新作『ダンケルク』の公開が控えるクリストファー・ノーラン監督の処女作である『フォロウィング』。今でこそ、彼の持ち味はIMAXフィルムでの撮影で代表されるような壮大な作風ですが、ダークナイトシリーズを監督する以前の初期の頃はエッジの効いたクールな雰囲気が前面に出ていました。その中でも今作は、40年代〜50年代に多く作られたフィルム・ノワールの影響を色濃く残しておりますが、次作『メメント』と同様の複雑な時系列で語られるストーリーが新鮮さも感じさせる、文字通り彼の原点となる作品です。

 時系列が前後する、といっても決して複雑な話ではなく、逆に順序良く編集されていたら、なんてことはないサスペンスになっていたでしょう。常に受け身の主人公が、怪しげな人物に誘われ、金髪美女の住まう闇の世界へ足を踏み入れる。もし「ヒッチコック流サスペンス映画の作り方」という教科書でもあれば、その模範例として掲載されているに違いありません。
 しかしながら、今や名監督として名高いノーランの手にかかれば、ひと味もふた味も違うスリリングな映画に仕上がってしまう。もちろん、現代風のスタイリッシュなオープニングや不十分なライティングが白黒の画面に陰影を持たせている点など挙げるべき箇所はたくさんあります。ですが、何より重要なのは登場人物たちに見え隠れする「闇」でしょう。先ほど「受け身の主人公」と書いたばかりですが、この男も一筋縄ではいかない人間です。彼の独白から物語はスタートし、小説家志望だから人間に興味があってなんとなく尾行を始めた、と彼は説明します。この彼の奇妙な習性が小説家志望という説明だけで成り立つものではないことは明白ですが、人の生活を垣間見る意味を語る彼には不思議と説得力があるのです。観客の共感を呼ぶ、一般人とさほど違わない各キャラクターに潜む異常性は、この映画の中では表立っては描かれませんが、常に見え隠れしています。それこそこの映画のユニークな点、従来のフィルム・ノワールそのものではなく、ネオ・ノワールと位置付けられる理由の一つでしょう。短い上映時間もまた、その不穏な雰囲気を盛り上げるのに一役買っており、十分な説明をあえてしないことでプロットの奥行きを見せています。
 だからこそ、逆に言えば最後の展開には物足りなさも感じてしまいました。結末に触れてしまうので詳しくは書きませんが、上記にも書いた通り、結局のところ筋立て自体は「模範例」そのものなのです。登場人物の異常性はエッセンスに過ぎず、何も根幹に関わってくるわけではありません。同じようにフィルム・ノワールの系譜に連なるポランスキーの『チャイナタウン』が持つヒリヒリする感情や、より見事なひねりが加えられたブライアン・シンガーの『ユージュアル・サスペクツ』の感服するような驚きを与えてくれるわけではないのです。
 
 でも忘れてはならないのは、この映画がわずか6000ドルで作られた事実。この映画の最も価値のあることは、ドル箱監督になるクリストファー・ノーランの存在を、たったそれだけのコストで映画界に知らしめたことかもしれません。

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