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2017/07/07 (Fri) ハクソー・リッジ

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原題    Hacksaw Ridge
公開    2016年
上映時間 139分
製作国   アメリカ/オーストラリア

監督    メル・ギブソン
脚本    ロバート・シェンカン/アンドリュー・ナイト

出演    アンドリュー・ガーフィールド
      ヴィンス・ヴォーン
      サム・ワーシントン


あらすじ
 1940年代、ヴァージニア州で生まれ育ったデズモンド・ドスは、国が太平洋戦争に揺れる中、自らも軍へ志願する。しかしながら敬虔なキリスト教徒であるデズモンドは、「汝、殺すことなかれ」という聖書の言葉を信条としており、銃に触れることができなかった。周りからの理解が得られずに葛藤する中、沖縄戦の激戦地である「ハクソー・リッジ」への出兵が決まる。





鑑賞日  17年7月7日
鑑賞方法 映画館
評価    4点


レビュー
 世の中の話題となった事件を起こして以来、すっかり表舞台に立たなくなってしまったメル・ギブソン。とは言っても、『エクスペンダブルズ3』などのアクション映画にはちょくちょく顔を出していましたが。そんな彼の完全復帰を印象付けることになったのがこの『ハクソー・リッジ』です。

 物語の構成自体はオーソドックスな戦争映画と同じです。「幸せに暮らしていた主人公がある日戦地に行くことを決意し、訓練で厳しい上司にしごかれる毎日を過ごしていたが、いざ戦地に行って見るとそこはさらなる地獄だった」というあらすじを基本に、主人公から銃器を取り上げればこの映画の完成になります。
 取り上げる、と書きましたが何も脚本のために創作したと言いたいわけではなく、むしろこの映画は史実にかなり正確に沿って作られたそうです。生前のデズモンド・ドス本人は自らが英雄視されることを望まず、映画化・書籍化の話を幾度となく断ってきたようですが、死後に製作されたこの作品でも彼の遺志は受け継がれています。現に、ドラマチックにするために改変されたエピソードはあれど、彼の行動原理や信条はアンドリュー・ガーフィールドの手によりそのまま息づいています。『パッション』や『アポカリプト』では、自分自身の思想を反映しすぎているとして批判されたメル・ギブソンにしてはこの点が非常に評価できるポイントなのではないでしょうか。きっとここ数年で心情の変化があったのでしょうね。

 とはいえベースが比較的定石通りなので、特に序盤はホームドラマばりのクサい場面の連続です。妻となるドロシーとの出会いの場面などはスパイダーマンの前日談でも見せられているかの気分に陥ること間違いなしです(しかも当時まだ看護師ではなかったドロシーをわざわざ改変してまで描いています)。また、そういった導入部が以外にも長いせいか、セブンスデー・アドベンティストであるデズモンドのバックグラウンドや特殊性は思いの外に掘り下げられないため、あまり宗教に慣れ親しんでいない人にはそれこそ彼がただの頑固者に見えるかもしれません。神への信心と一人間としての心情のぶつかり合いがこの映画のメインテーマであるにもかかわらず、内面的な動きよりも、史実を追うだけの部分があるのは非常に勿体無いでしょう。

 しかしながら、いざ戦地での場面に移ると、メル・ギブソンの監督としての腕がまったく衰えていなかったことに多くの人が気付かされること請け負いです。それどころか、より磨かれていると言っても過言ではないでしょう。あまりにも生々しい戦地の描写は、見ているだけのこちら側も思わず息をするのを忘れるほどの臨場感を持ち、それでいて以前のような過剰な暴力描写は鳴りを潜め、ここぞという場面で不意に画面いっぱいに広がります。それが余計に、戦地という現場の無情さ、苛烈な戦闘で次第に押しつぶされる人間性を克明に描き出し、非暴力を貫いたデズモンドの鋼の精神と明確なコントラストを浮かび上がらせるのです。そしてそれらがリアリティを持って描かれるからこそ、彼のとった行動の素晴らしさを実感し、それが事実であることに再度驚かされます。

 敵味方関係なくできる限りの命を助けたデズモンド・ドスは、真に偉大な人間であり、死後10年以上経った今も、彼の心は宗教をも超えて人々を感服させるのです。

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2017/07/06 (Thu) くまのプーさん 完全保存版

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原題    The Many Adventures of Winnie the Pooh
公開    1977年
上映時間  74分
製作国   アメリカ

監督    ジョン・ラウンズベリー/ウォルフガング・ライザーマン
脚本    ラリー・クレモンズ ほか
原作    A・A・ミルン 『クマのプーさん』


あらすじ
 100エーカーの森で暮らす熊のぬいぐるみのプーさんは仲間たちと一緒に楽しく暮らしていました。そんな日々を彩る、3つのエピソードのはじまりです。





鑑賞日   17年7月6日
鑑賞方法  Blu-ray
評価    4点


レビュー
 「プーさん」といえばこれ!という、誰もが思い浮かべるあの黄色い熊のぬいぐるみを作り上げたのはまさに本作でしょう。することといえば、ハチミツを食べること、無ければハチミツを探すことぐらいで、仲間たちとともにトンチンカンなことばかり考えています。でもその「おバカさん」な姿がなんとも愛らしく、ディズニーアニメの手腕が遺憾なく発揮されているのです。

 この映画は、これ以前に製作された『プーさんとはちみつ』、『プーさんと大あらし』、『プーさんとティガー』の3つの短編で構成されている、いわゆるオムニバス映画です。原作が児童書であることをそのまま生かし、まるで親に本を読んでもらうかのごとく、ゆっくりとしたペースで話は進んでいきます。本の中で起こっている出来事なので、今でいうメタフィクショナルな演出が多く登場する点もユニーク。よく原作をないがしろにしていると言った意見もありますが、文字を映像に翻案するという作業をよく理解しているディズニーだからこそできる、一種の原作へのリスペクトとも取れるのではないでしょうか。

 個々のエピソードは特段深みがあるわけではなく、小さな子供がするちょっとずれたような行動や言動を元にストーリーを膨らませていったという印象です。でもクリストファー・ロビンが「プーのおバカさん」と呼ぶように、愛情のこもった優しいタッチで描かれています。また、少ないながらも登場するキャラクターたちは個性豊かで、100エーカーの森の日常を垣間見てみたくなるのも頷けます。実際、後年たくさんのアニメシリーズが製作されました。

 確かに、50〜60年代のディズニー映画に見られるトリップ風の描写や、数人のキャラクターが話すなまりのある英語など、原作から離れてしまっていると言わざるを得ない演出も多分にあります。でもこの映画のために作られた最後のパート、クリストファー・ロビンが学校に行ってしまう『プー横丁にたった家』のエピソードを見ると、ミルンの精神はここにも生きていると感じずにはいられません。小さな子供の小さな一歩としては、とても温かく、とても感動的なストーリーに違いないのです。

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2015/08/29 (Sat) 犬神家の一族

犬神家の一族


英題   The Inugamis
公開   1976年
上映時間 146分
製作国  日本

監督   市川崑
脚本   長田紀生/日高真也/市川崑
原作   横溝正史『犬神家の一族』

出演   石坂浩二
     島田陽子
     あおい輝彦


あらすじ
 製薬業で名を上げた、財界の大物である犬神佐兵衛が莫大な財産を残して亡くなった。互いに反目し合っている遺族たちは遺産をせしめようと、彼の遺言が公開されるのを今か今かと待ちわびていた。そんな中、かの名探偵金田一耕助が犬神家の調査を依頼され、犬神家の本宅のある那須の湖畔へと赴いた。しかし依頼人は何者かに殺害された後であった。さらに佐兵衛の長女松子の一人息子で、出兵していた佐清が顔に重傷を負って帰ってきた。親族が全員揃ったことで遺言状が公開されたが、そこには恐るべき内容が書いてあり、これが惨劇の引き金となったのである。




鑑賞日  8月28日
場所   家
評価   4点


レビュー
 恥ずかしいことに私は金田一耕助シリーズを何一つ読んだことがない。「横溝正史=子供には怖すぎる」という図式が出来上がったまま、気づいたら大人になっていた。よって原作との比較ではなく、あくまで映画としてのレビューとして書いていることに留意してほしい。

 映画を見たことがない人間でも知っているだろう、スケキヨの仮面や水面から突き出た死体の両足など、強烈なビジュアルセンスをあますことなく発揮している。予告編でも「新しい映像の創造」と謳われているが、新しいかはともかくとして、随所に美意識の感じられる映像の作りは見られる。上げたらきりがないが、特に私の目を引いたのは佐兵衛の遺影に向かって座る松子を映したシーンだ。佐兵衛という人間の狂気を、本人はただの遺影にもかかわらず、引きずり込まれるようなカメラワークで表現していた。
 ロケーションもいい。戦後すぐの那須を再現し、湖畔の風景や、今となっては見かけない独特の和洋折衷の様式もまた時代を良い意味で感じさせてくれる。市川崑自身の手によるリメイク版でも、オープニングで金田一耕助が歩く場面は今作の風景をそのままCG処理を施し合成しているというのだから、その影響がうかがえる。

 さて、上に挙げたようにこの映画はどうしても映像面に目が行きがちだが、実際のところ物語自体を引っ張っているのはキャラクターの妙である。自分の家族の利益だけをとことん追求する犬神家の面々や、序盤でしか登場しないのに強烈な印象を残す佐兵衛(三國連太郎が演じているから当然とも言えるが)、そして何と言っても主役の金田一耕助は外せない。
 一見すると彼がいなくても映画が成立するような気がするが、ストーリーのトーンや緩急をつけているのは彼の仕事だ。石坂浩二による、頼りなさげな風貌でいながら時折鋭い眼光を見せる金田一耕助は、コメディリリーフでもありまとめ役でもあるという難役を見事にこなしている。事実、この映画は恐怖描写のみならず、喜劇的なスタイルもまた魅力の一つとなっているのだ。

 しかし時代の流れを逆らうことはできないようで、いただけない部分も多分にある。その一つが時折挿入される風変わりなカットだ。なぜかスチール写真を用いたコマ割りになったり(これは映像が紛失したのかもしれないが、私は真相を知らない)、コントラストの激しいモノトーンの回想場面など、鮮烈な映像美というよりは単にくどい場面も多い。
 プロットにいまいち整合性が感じられないのもミステリーとしては褒められたものではない。これが横溝正史の原作から存在していたのか、映画にする際に翻案を行ったせいでこうなったのかは分からない。だがある登場人物の行動原理や、そのバックグラウンドなどが観客には理解しがたいものであった。

 とはいえ、私自身、最後の展開には驚かされてしまった。「スクリーム」などでも使用された脚本の捻りを70年代に行っていた点は驚嘆せざるをえない。日本人で知らないものはいないであろう「犬神家の一族」は、エンターテイメント性と上質な芸術性を見事に組み合わせた真の大衆映画と言える。

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2014/12/29 (Mon) ボーン・アイデンティティー

ボーン・アイデンティティー


原題   The Bourne Identity
公開   2002年
上映時間 119分
製作国  アメリカ

監督   ダグ・リーマン
脚本   トニー・ギルロイ/ウィリアム・ブレイク・ヘロン
原作   ロバート・ラドラム『暗殺者(原題:The Bourne Identity)』

出演   マット・デイモン
     フランカ・ポテンテ
     クリス・クーパー


あらすじ
 銃で撃たれた男がマルセイユ沖で救出される。無事に回復したものの、彼は自分の名前はおろか、撃たれる前の記憶を一切失っていた。彼は自らの正体を探るため、皮膚に埋め込まれていたレーザーポインターが示したチューリヒ相互銀行へと向かう。そこにあったのは大量の札束と銃、そしていくつかの偽造パスポート。その後、彼は自分の命を狙ったのが自分のいた組織であったことを知る。





鑑賞日  12月28日
場所   家
評価   4点


レビュー
 それまで弟分のようなキャラクターが多かったマット・デイモンを、マッチョなアクション俳優としても素晴らしいことを証明した作品である。実際、非常に見応えのある硬派なアクションに仕上がっているのは、間違いなく彼によるものだ。スピーディなチェイスから、緊張感のある銃撃シーンまで、すべてがタイトにまとめあげられている。名シーンはクライヴ・オーウェンが演じる「教授」(彼の演技もピカイチである)との戦いだろう。あれほど静かでありながら残酷な場面もなかなかない。

 とはいえ、脚本に問題がないわけではない。トレッドストーン計画の全貌など、いくつか(というかほぼ全て)の謎を残したまま映画が終了するので、結構もどかしいのである。続編に乞うご期待、と言ってしまえばそれで済む話だが、やはり3部作とはいえある程度の決着は付けるべきではないだろうか(第一、「ボーン・アイデンティティー」製作時は続編の計画など無かったのだから、なおさらストーリーは収束させるべきである)。事実、最後のクライマックスは正直尻窄みである感じを拭えない。あれだけ鬼気迫るアクションを繰り広げながら、最後は下っ端とのもみ合いというのはなんとも悲しいではないか。

 しかし全体として、プロットはそつなく完成されていると言える。リアリズム溢れるスパイ物でありながら、荒唐無稽であることも忘れず、程よくロマンスで味付けをしてある。随所に登場するヨーロッパの名所や風景も、他のアメリカ製アクションとは異なる彩を映画に添えている。
 そして何より、マット・デイモンが真のハリウッドスターになった瞬間でもあるのだ。

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2013/04/14 (Sun) ミッシング(家で鑑賞)

ミッシング

原題   Missing
公開   1982年
上映時間 122分
製作国  アメリカ

監督   コスタ=ガウラス
製作   エドワード・ルイス/ミルドレッド・ルイス
脚本   コスタ=ガウラス/ドナルド・スチュアート
原作   トマス・ハウザー『The Execution of Charles Horman: An American Sacrifice』

出演   ジャック・レモン  ···エド・ホーマン
     シシー・スペイセク ···ベス・ホーマン
     メラニー・メイロン ···テリー・サイモン


あらすじ
 1973年、軍事クーデターの起きた南米・チリで、妻ベスと暮らしていたアメリカ人の青年チャールズ・ホーマンが行方不明になる。
 ベスから知らせを受けたチャールズの父エドは、現地でベスとともにチャールズの行方を追うものの、一向に手がかりをつかむことができない。実はチャールズの失踪には、クーデターに対する米国の陰謀が関わっていた。





評価:4点(5点中)


レビュー
 チャールズ・ホーマン失踪事件を描いたノンフィクション書籍の映画化である。

 真実の話をベースにしているのでストーリーには当然リアリティがあり、真に迫ってくる。なぜチャールズ・ホーマンは消えたのか。その裏に見え隠れする存在を突き止めるために、父親と妻が奔走する。
 この奇妙なコンビは映画的な部分にも大きく貢献している。ジャック・レモン演じるエド・ホーマンは少々頭の固い男で、息子たちのすることが理解できない。対するスペイセクは社会主義に理想を見いだそうとしていた時代の人間に成り切っている。このジェネレーション・ギャップが会話の随所にちりばめられていて、重くなりがちなサスペンスに軽妙さを与えている。
 だがこの映画が最も素晴らしいのはその訴えかける力だ。あまりにも大きすぎる陰謀に押しつぶされそうになりながらも、必死にチャールズを探す2人の姿はあまりに痛ましい。ジャック・レモンの皮肉っぽい持ち味が、逆に物語の悲惨さを際立たせているのだ。

 息を呑むシーンも多い。その最たるものは、銃殺された人間が山積みにされた部屋に入る場面だ。それまでは登場しなかったストレートに生々しい場面がここで初めて映し出されるから、その衝撃度は半端ではない。その上、部屋を紹介するチリの軍人とアメリカの領事が眉一つ動かさないのにはぞっとさせられた。

 この映画の欠点は映画的な演出が酷く時代錯誤である点だ。陳腐なカメラワークや「いかにも」なセット。照明の当て方にもセンスが感じられない。それに序盤のチャールズが失踪する前の場面は正直言って見苦しい。スペイセクも他の出演者とかみ合っているとは言えないし、物語の滑り出しとしては最悪だ。

 それでもこのレビューを読んだなら、「ミッシング」を絶対に見るべきだ。こんな話が現実にあることがまず信じられないし、そのインパクトがすべての欠点を吹き飛ばす。繊細さと大胆さが見事に噛み合わさり、忘れがたい唯一無二の映画となっているのだ。
 この映画を見た後は「正義」についてじっくりと考えさせられるはずだ。

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