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2014/10/25 (Sat) 未来世紀ブラジル

未来世紀ブラジル


原題   Brazil
公開   1985年
上映時間 143分
製作国  イギリス

監督   テリー・ギリアム
脚本   テリー・ギリアム/トム・ストッパード/チャールズ・マッケオン

出演   ジョナサン・プライス
     キム・グライスト
     ロバート・デ・ニーロ


あらすじ
 20世紀のどこかの国。情報省に勤める下級役人のサムは、テロ容疑者の名前である「タトル」を「バトル」と打ち間違えたミスをなんとかするために試行錯誤していた。近頃サムは、夢の中でナイトの格好をして、美女を助け出すという夢を見ていたが、情報省に抗議に来ていたジルがその美女にそっくりだということに気づく。そして彼の身の回りでもおかしな出来事が起き始めて•••。





評価:5点(5点中)


レビュー
 最近モンティ・パイソンの再結成ライブが話題になったばかりだが、近頃のテリー・ギリアムは「映画監督の」という形容詞がつく方がしっくりするかもしれない。事実、「未来世紀ブラジル」は映画監督としての彼の全てが詰まった映画といっても過言ではない。

 ジョージ・オーウェルの「1984年」に多大な影響を受けていることは明らかだ。主人公はどちらもうだつの上がらない下級役人で、「体制側の人間が、気づいたらアナーキズムの世界に踏み入れている」というプロットも一緒だ。だが、悪趣味さという点ではテリー・ギリアムの方がはるかに上をいっているだろう。極彩色で色付けされた、不愉快なビジュアルはディストピア的な物語に完璧にフィットしているし、妙に格式張った情報省の建物とのコントラストとも相まっている。主人公のサムが見る夢もまた、監督の得意とする分野だ。巨大なサムライとの戦いなど、元パイソンらしいくだらないギャグも多分に含まれていながら、美しくもグロテスクな映像を作り上げている(「動く目玉」などカットされたシーンも多くあるのが残念だ)。

 だが特筆すべきはストーリーだろう。夢の中でしか見たことがない愛する人を助けるために奔走するという、ロマンティックアクションの体裁を取りながら、「自由」を手に入れることの困難さを描いた風刺の側面もある。しかも階層社会の矛盾やご都合主義なテロリズムの解釈など、今に通じる社会への批判が多く読み取れる点も、この映画を不朽の名作にした一つの要因であろう。
 アメリカで一度は変更されてしまった例のラストシーンも完璧だ。非常に後味が悪く、そして物悲しい。「1984年」が描かれた時代である40年代風のビジュアルや曲がその哀愁をさらに強めている。

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2014/10/24 (Fri) その男、凶暴につき

その男、凶暴につき


英題   Violent Cop
公開   1989年
上映時間 103分
製作国  日本

監督   北野武
脚本   野沢尚

出演   ビートたけし
     白竜
     川上麻衣子


あらすじ
 刑事である我妻諒介は、時には暴力を辞さない捜査方法と粗暴な性格から、署内でも同僚たちに敬遠されていた。そんなある日、港で麻薬売人の惨殺死体が発見される。我妻は新人の菊地を引き連れ事件の捜査を開始し、覚醒剤を密売する組織の存在をつきとめた。だがその中で我妻は、あってはならない驚愕の事実にも辿り着いてしまうのだった。





評価:4.5点(5点中)


レビュー
 言わずと知れた北野武の監督デビュー作である。彼の映画の特色である、静かながらも見る者に衝撃を与える暴力描写はこの時から健在である。だがそれ以上に「その男、凶暴につき」が痛ましいのは、その救いようのない物語が醸し出す悲哀にあるのだ。

 物語はホームレス狩りをする少年たちのシーンから始まる。一見、大筋に関係の無さそうなこのエピソードだけで、北野監督は我妻という刑事の人物像を観客に伝えている。何しろ、一人の少年の家に押し入り、部屋でボコボコにするのだから。冒頭にこういった衝撃的なシーンを持ってくることで、我妻が危険人物であることを周知させ、緊張感が彼の出演シーンに常に付きまとうことが、この映画の重要なポイントとなるのだ。
 実際、我妻は毎回誰かを(強弱の違いはあれど)殴ったり蹴ったりしている。はっきり言って友達はおろか、同僚にも居て欲しくない類の人間ではあるが、それでいて不愉快な感情を抱かないで済むのは監督自身の演技力によるものだろう。ビートたけしという芸人が持つ皮肉ぶったユーモアを活かし、張り詰めた空気の中にも笑みをこぼさずにはいられないようなシーンを盛り込んでいる。このおかげで我妻への感情移入を可能にし、多くは語られない彼のバックグラウンドから、垣間見える悲しみを観客と共有している。とはいえ、それもまた冷酷な暴力描写を際立たせるための材料の一つでもあるのだが。

 先ほど述べた北野武を筆頭に、俳優陣の演技もまた素晴らしい。あれやこれやと書き立てる必要はないが、やはり敵役の白竜は格段の不気味さを伴っている。「ダーティハリー」のスコルピオや「ブレードランナー」のバッティなどのいわゆるサイコパスに通じる点を多く持ち合わせているが、大きく違うのは妙に人間らしいところだろう。雇い主の仁藤には一切逆らわず、我妻にボコボコにされる時もほとんど抵抗しない(というよりできない)。ラブホテルでのガサ入れのシーンもまた、彼の生活感を見て取れる。だが彼もまた、我妻と同様にそういった場面が、突然起こる狂気をはらんだ暴力シーンを際立たせる結果となった。

 もちろん欠点がないわけではない。事件のプロットそのものは決して緻密なものではなく、勢いで乗り切ってしまっている粗削り感は否めない。無駄なセリフを限りなく削ぎ落とすスタイルはとても好きだ(事実、監督の作品の最も根幹とも言える部分である)が、我妻の妹に関してはマイナス面もある。確かに彼女の「病気」や彼らの関係性についてほとんど描かれないことで、感情面の表現はその余韻も相まってはるかに豊かになった。しかしストーリーの構成上、彼女の行動に不可解な部分が出てしまっている。それを「病気」だから、の一言で片付けてしまうのは如何なものか。

 とはいえ、凶暴な男である我妻の最後に残した優しさが妹に注がれていることは、言葉で表さずとも簡単に見て取れる。序盤の退院した妹とともに祭りに出かけるシーンだけで、我妻にとって妹がどれだけ大切なのかもはっきりと理解できる。
 結局のところ我妻の行動は何の影響も及ぼしていないのだ。しかし重要なのはそこではない。最愛の妹に手を出した悪漢を自分の手で殺し、妹を救う。ある意味でこれは達成されたのだ。そして我妻にとってはこれこそが重要なのである。だからこそ、あのラストシーンはあまりにも悲しい。愛情というものがなんたるかを知る者だけが描ける究極の結末だろう。

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