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2017/07/13 (Thu) 20センチュリー・ウーマン

20th_century_women.jpg


原題    20th Century Women
公開    2016年
上映時間  118分
製作国   アメリカ

監督    マイク・ミルズ
脚本    マイク・ミルズ

出演    アネット・ベニング
      ルーカス・ジェイド・ズマン
      グレタ・ガーウィグ


あらすじ
 1979年、カリフォルニア州サンタバーバラ。思春期の真っ只中にいる息子ジェイミーの今後が気がかりな母親ドロシーは、ジェイミーの幼馴染のジュリーと、写真家のアビーに面倒を見るよう提案する。彼女らを含む周囲の人々と接し、70年代終盤の文化に触れるうちに、ジェイミーには変化が起きていく。





鑑賞日   17年7月8日
鑑賞方法  映画館
評価    5点


レビュー
 2010年の『人生はビギナーズ』以来、6年ぶりとなるマイク・ミルズの脚本・監督作。前作がゲイであることを告白した彼の父親をベースにし、今作は彼の母親をモデルにした映画である。どちらも彼にとって非常にパーソナルな作品であることに変わりはないが、今回は子供時代のある一点のみを描き出すことで、前作にはなかった時代性や郷愁の思いを加え、より感動的な仕上がりとなっている。

 さて具体的なストーリーについて話していきたいが、上記にあらすじを書いてはいるものの、この映画には明確な起承転結があるわけではない。もちろん作中ではいくつかの“事件”と言えるものは何回か起きるが、それらはあくまで日常生活の範疇を出ることなく、観客に取っても起こりうる、ユニークながらもありふれた出来事として描かれる。むしろ大事にされているのは、その出来事を起こすまでの、もしくは起きたことによる登場人物の感情の動きや流れである。
 例えば、主人公の15歳のジェイミーは多感な時期もあってか、時折母親に反発し、彼女がシングルマザーであることを頻繁に指摘する。通常であれば、母子の関係を描く映画におけるターニングポイントとなりうるが、『20センチュリー・ウーマン』ではそういった安易な手法は取られない。こういった出来事は2人(あるいはその周囲を含む人々)の関係性の重要な蓄積のひとつであり、アネット・ベニングを始めとするキャストの繊細な演技が、映画全体、すなわち一時代が少年の成長にとって大きな影響を及ぼしたという事実を裏付けているのだ。
 またミルズ監督の素晴らしい点は、その感情が一種類ではなく、一人の人物の中に幾重にも重なった状態で表出されるという、本来であれば難解な表現をやってのけてしまう点だろう。もし人間がロジカルに行動するのであれば、どのような場合においても「A→B」という方程式は崩されることがないだろうが、実際のところ大きく違っている。相手の行動に対しての反応は、いくつもの矛盾した感情から生み出された行動の結果であり、それこそが一人一人の人間を個性的にしているポイントなのだ。思春期のジェイミーはこういった「矛盾」に裸で晒されているも同然だが、大人であるはずのドロシーやアビーについても実は同様のことが言える。むしろ彼女らは「大人である」という理性で感情を覆うことにより、子供よりも遥かに複雑な内面の変遷を経験することになる。これは現実においても真であり、それを実際に映画という媒体でほぼ完璧に投影できたのはこの映画が初めてではないだろうか。

 上記の普遍性もさることながら、序盤でも記載した通り、監督にとってパーソナルな映画である点もまた、魅力を高めるのに一役買っている。トーキング・ヘッズを先頭とし、キャラクターの代わりに言葉で訴えかけてくるサウンドトラックは、MV出身のミルズのビジュアルセンスと見事にマッチし、流れるたびに心を震わされる。79年という、アメリカ全体にとっても変遷期であることもミソだろう。レーガンという一時代を象徴する大統領ではなく、外交政策に翻弄されたカーターの演説をフィーチャーし、異なる時代に生まれた人々の反応を映し出すなど、成長において周囲の環境が大きく影響を及ぼすことをミルズは熟知している。繰り返し繰り返し、主要なキャラクターたちがナレーターとして各々の人生を語り、そのバックグラウンドから彼女らそのものが浮き彫りになって行く。これを観た人は、短い一夏の映画とは思えないほど、濃密な時間を過ごせることだろう。

 やはり『人生はビギナーズ』同様、多くを語ってくれる映画ではないため、些か面食らってしまう人もいるかもしれない。それでもなお、こちらまで熱が伝わってくるようなカラフルなサンタバーバラの情景や、生き生きと動くキャラクターの可笑しさは万国共通のものだろう。そしてこの映画の真意がわかった時、監督の領域を超え、観た者にとってパーソナルな映画になっているのだ。

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