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2017/10/13 (Fri) Quay (原題)

quay.jpg


原題    Quay
公開    2015年
上映時間  8分
製作国   イギリス

監督    クリストファー・ノーラン

出演    スティーブン・クエイ
      ティモシー・クエイ



※こちらは“Quay”の予告編ではなく、ツァイストガイストによるブルーレイのCMです。


鑑賞日   17年10月13日
鑑賞方法  Blu-ray
評価    3.5点


レビュー
 クエイ兄弟から多大なる影響を受けたと自負するクリストファー・ノーランは、2015年に『ストリート・オブ・クロコダイル』、『』、『イン・アブセンティア』の35mmフィルムにリストアを施し、再上映会を各地で行いました。その際に同時上映として放映されたのが、ほとんどがノーラン自身の手によるクエイ兄弟に焦点を当てたドキュメンタリー“Quay”です。残念ながら日本ではまだ発売されていないようでして(ブルーレイのブラザーズ・クエイ短編集に収録する予定もあったそうですが)、アメリカもしくはイギリス版のブルーレイにのみ収録されています。

 この作品はドキュメンタリーとしては変わった手法が取られています。まずはノーランの大好きな35mmによって撮影されている点でしょう。兄弟の薄暗い工房がこのカメラのレンズを通すと、まるでこだわり抜いて作られた映画のセットのようで、窓際での場面を多く取り入れることで、家の外側と別世界であることを印象付けています。
 さらにインタビューらしいインタビューが行われていないこともユニークなポイントの一つです。実際に作品で使われた人形やセットに関して兄弟が説明を行うのですが、彼らのペースで自由に話しているような空気感を絶妙な編集で作り出し、ノーランと共に兄弟のプライベート空間に迷い込んだかのような体験をもたらしてくれます。

 ただし後者に関しては難点も存在しています。言ってしまえば、兄弟が好きなことを話しているだけなので、彼ら自身の素性や作品に関する何かが具体的に見えてくるわけではなく、見方によってはドキュメンタリーとして成立していないのです。ですがこれはノーランの意図的な演出で、ブラザーズ・クエイの魅惑的かつ退廃的な作品群の秘密を無理やり解き明かすのではなく、あくまで一人のファンとして生誕地を映像として切り取っているに過ぎないとも言えます。いずれにせよ、ある熱狂的なファンの目を通した工房の様子は、兄弟を知らない人間の目からも憧れに満ちた光でいっぱいになっているのです。

 8分間という短すぎる上映時間が美点にも欠点にもなっていますが、クエイ兄弟という多大な影響力の持ち主がこの世に存在することを知らしめたことには大きな意味があり、既に彼らを知っていた人にとっても魅力の再確認につながるでしょう。

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2017/10/13 (Fri) イン・アブセンティア

in_absentia.jpg


原題    In Absentia
公開    2000年
上映時間  20分
製作国   イギリス

監督    ブラザーズ・クエイ (スティーブン・クエイ/ティモシー・クエイ)

出演    マレーネ・カミンスキー





鑑賞日   17年10月13日
鑑賞方法  Blu-ray
評価    3点


レビュー
 英BBC製作の“Sound on Film International”という、映画製作者と作曲家のコラボレーション企画の一つとして、現代音楽の巨匠シュトックハウゼンの曲が全面的に用いられた作品です。アイデアのベースとなったのは、精神病棟の居住者たちによる作品の展覧会にて見つけた手紙でした。それは早発性痴呆(現在では統合失調症にカテゴライズされる)と診断された女性が自らの夫へ宛てたもので、同じ言葉を何度も何度も鉛筆で書きなぐってあったそうです。まさに題名の通り、精神を病み自己存立が危ぶまれた人間の精神状態を映像化したと言えるでしょう。

 一見とても魅力的なコンセプトなのですが、実際にはこれが兄弟の持つ魅力を半減しているのです。彼らの作品で名作と言われるものの多くは、限りなく無機物的な人形が人間のグロテスクな部分のみを吸収していることで表れる、なんとも居心地の悪い不気味さが全体のトーンを占めています。要するにそもそもの起点となるアイデアが人間でないものからスタートしているからこそ、一層の不条理さが感じられるのであって、精神が破綻していようが人間の行動そのものがベースとなっている本作は、むしろ正常だと思えるほどに近しい存在へと変わってしまっているのです。

 映像が高画質になり、カット割りなどの技術が上昇したことも、悪い方向へと影響しています。また製作者の意図を覆い被すほどの過剰な照明やカメラワークが目立ち、スタイリッシュになった分、一つの作品というよりもシュトックハウゼンのMVに成り下がっているという印象を受けなくもないです。正直な話、『X-ファイル』の一場面と言われてもそんなに違和感がありません。

 もちろん悪い部分ばかりであるはずがなく、他の作家には真似できないような部分も多く存在します。精神をすり減らす女性が鉛筆を削る描写は、キリキリするような張り詰めた空気が取り巻いており、耳障りとも言える音楽と組んで強烈なタッグになっているのです。そしてストップモーションパートはやはり素晴らしく、以前よりもシンプルな作りの人形が、主人公にとっての現実世界そのものに歪みが生じていることを暗示していて、別種の気味の悪さを醸し出しています。

 実写をメインとした演出にシフトするのも、新たな試みとして悪いものではありませんし、個々の作品に適した方法として幅を広げていくことは間違いなく素晴らしいことです。しかしながら結局のところストップモーションであったことが兄弟の作品の魅力を多分に占めていたことを証明してしまったのも、また事実です。生々しさを併せ持った無機物という存在は、まさしく彼らだけが生み出せる悪夢に他ならないのですから。

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2017/10/13 (Fri) 櫛 - 夢博物館から

comb.jpg


原題    The Comb (From The Museums Of Sleep)
公開    1990年
上映時間  18分
製作国   イギリス/フランス

監督    ブラザーズ・クエイ (スティーブン・クエイ/ティモシー・クエイ)

出演    ジョイ・コンスタニーニデス
      ウィトルド・シェイボル




鑑賞日   17年10月13日
鑑賞方法  Blu-ray
評価    4点


レビュー
 こちらは『ストリート・オブ・クロコダイル』に比べると、より“悪夢”といった趣が強い作風に仕上がっています。テリー・ギリアムによる『Dr.パルナサスの鏡』の夢のシークエンスにおけるハシゴの場面は、この映画からダイレクトに(ほぼパクリといっていいほどの)影響を受けています。それだけインパクトの大きい作品であることの証拠なのです。

 一定の流れがあることはこちらでもなんとなく察することはできますが、これを論理的に文面で説明するのは不可能に近いでしょう。実写パートで出てくる女性の夢の内容がストップモーションで表現されていて、おそらく彼女の中で強いイメージとなった櫛が悪夢のモチーフとなっています。しかしながらそれらの関連性や、度々登場する性的な暗喩などが意味するものを具体的に指し示すことは難しいのです。強いて言うのであれば、実際に私たちが見る「夢」が持つ表象にはかなり忠実だと言えます。合理性に欠ける場面の連続や、不気味であるにも関わらずずっと見ていたいという矛盾した感情が沸き起こる点など、(あくまで個人的な考えですが)睡眠中に見る夢に覚える感触にそっくりなのです。まさに夢博物館という副題に沿う内容です。

 外的な部分に関して言及すると、遠近感を意識しつつも二次元的な構図が多いのも特徴的で、見かけの衝撃だけでなく、兄弟によって作品ごとに綿密なアイデアも組み立てられていることが裏付けられます。埃っぽい薄汚さと同時にどこか洗練されていて、スチームパンク的な要素も見られた『ストリート〜』と比較すると、より退廃的で露骨に恐怖感を煽る造形の人形になっているのもそういった工夫の一つでしょう。

 色々と説明しても、やはり直接見るのには敵いません。もし少しでも惹かれるものがあれば、あなたもクエイ兄弟の世界から抜け出せなくなるに違いありません。

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2017/10/13 (Fri) ストリート・オブ・クロコダイル

street_of_crocodiles.jpg


原題    Street of Crocodiles
公開    1986年
上映時間  21分
製作国   イギリス

監督    ブラザーズ・クエイ (スティーブン・クエイ/ティモシー・クエイ)
原作    ブルーノ・シュルツ 『大鰐通り』

出演    フェリクス・スタウィンスキ





鑑賞日   17年10月13日
鑑賞方法  Blu-ray
評価    4点


レビュー
 実のところクリストファー・ノーランが“Quay”という短編ドキュメンタリーを製作するまで、クエイ兄弟のことはまったく知りませんでした。しかしある界隈においては非常に名の知れた存在で、テリー・ギリアムやティム・バートンといった悪夢のような映像表現を好む製作者たちに数々のインスピレーションを与えてきたそうです。特に今作『ストリート・オブ・クロコダイル』は兄弟のフィルモグラフィにおいても屈指の傑作と言われ、イギリスの著名な映画誌“Sight and Sound”上である批評家から歴代映画ベスト10に選ばれたこともあるそうです。

 このレビューであらすじを記載していないことからお分かりかと思いますが、彼らの作品の多くは明瞭なストーリーが存在せず、不条理文学の世界をそのまま映像化したような場面が続きます。ここで展開されるのは、無機物たちが地面を這う虫や千切れた手足のように生々しく蠢くなんとも不気味な世界と、そこに放り込まれた主人公らしき男の人形の顛末です。もちろんその物語にオチも何もあったものでは無いのですが、不思議なことにある一定のペースと流れは確実に存在し、自身の眼前になぜこれが存在するのか理解できなくても、多くの人はそのクラクラするような強烈なイメージの箱に引き込まれることでしょう。

 またビジュアルも際立っており、箱の中に赤黒いサビで覆われた廃墟のような街並みが展開されているというコンセプトも非常に魅力的です。随所に登場する仕掛けとなる紐の数々も先行きの分からない不穏さとじっとりとした緊張感を暗示していて、直接的な描写が少ないにも関わらず、どことなく不愉快さを感じさせる奇妙な感触としてこちらに伝わってきます。

 さらに映像表現においても特筆すべき点は多いのです。遠近感を意識したフィルム撮影、鏡・ガラス越しに映った対象物を捉えるカット、自然光を意識した照明など見事な場面の連続で、ストップモーションアニメのみならず実写映画にも影響を与えたことが頷けます。実際これを見た後だと、前述のクリストファー・ノーランによる初期の作品群がクエイ兄弟の影響を受けていることは明白です。

 じわりじわりと観客を引き込んだ最後に原作のモノローグで唐突に終了してしまうという、突き放すようなエンディングは単純に安易な選択と思えて仕方ありませんが、そこに至るまでの過程は唯一無二のものでしょう。芸術を表現するツールとしての映像をよく理解する人間だからこそ描写できる、混沌としながらも美しい作品です。是非とも原作、そして彼らに影響を与えた芸術家たちについて学んだ後にもう一度触れてみたいと思わされました。

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