監督 トーマス・アルフレッドソン
出演 ゲイリー・オールドマン
コリン・ファース
ベネディクト・カンバーバッチ
あらすじ
1960年代のロンドン。ある作戦の失敗でイギリスの諜報機関サーカスを引責辞職したジョージ・スマイリーに、ある日特命が下される。それは、いまもサーカスに在籍する4人の最高幹部の中にいる裏切り者=2重スパイを探し出せというものだった。
評価 4.5点(5点中)
レビュー
いわゆる「スパイもの」ではあるが、銃撃戦などの激しいアクションシーンは一切ない。それなのにこの映画はどんなシーンにも恐るべき緊張感がある。
この映画の雰囲気に大きく貢献しているのは俳優達の名演だろう。まずはゲイリー・オールドマン。普段みたいなキ○ガイの役とは正反対の、滅多なことでは感情を表に出さない、最高に渋い老スパイを演じている。口を開くこともさほど多くないのに、一見してやり手のスパイであることが誰にでも分かる。他とは一線を画す圧倒的な存在感だ。サーカスの幹部を演じるメンバー達も素晴らしい。それぞれが自分の持ち味を出し、誰一人として忘れられない登場人物に仕上がっている。そして彼らの部下であるスパイ達。その多くが葛藤を持ち合わせていて、ある意味で最も共感できる役だろう。
「スパイもの」だから脚本の出来は秀逸だ。「もぐら」を見つけ出すまでの過程を過去と現在を交差させながらドラマチックに仕上げている。ただスタイリッシュさを求め、極力台詞を廃し、多くを俳優の表情に頼っているせいで整合性がついていない箇所もある。
しかしそんな欠点には目をつぶってでもこの映画を見る価値はある。冷戦時代の暗い影が忍び寄るスパイの情報戦は見物だ。是非とも原作も読んでみたい。
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