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2017/10/13 (Fri) イン・アブセンティア

in_absentia.jpg


原題    In Absentia
公開    2000年
上映時間  20分
製作国   イギリス

監督    ブラザーズ・クエイ (スティーブン・クエイ/ティモシー・クエイ)

出演    マレーネ・カミンスキー





鑑賞日   17年10月13日
鑑賞方法  Blu-ray
評価    3点


レビュー
 英BBC製作の“Sound on Film International”という、映画製作者と作曲家のコラボレーション企画の一つとして、現代音楽の巨匠シュトックハウゼンの曲が全面的に用いられた作品です。アイデアのベースとなったのは、精神病棟の居住者たちによる作品の展覧会にて見つけた手紙でした。それは早発性痴呆(現在では統合失調症にカテゴライズされる)と診断された女性が自らの夫へ宛てたもので、同じ言葉を何度も何度も鉛筆で書きなぐってあったそうです。まさに題名の通り、精神を病み自己存立が危ぶまれた人間の精神状態を映像化したと言えるでしょう。

 一見とても魅力的なコンセプトなのですが、実際にはこれが兄弟の持つ魅力を半減しているのです。彼らの作品で名作と言われるものの多くは、限りなく無機物的な人形が人間のグロテスクな部分のみを吸収していることで表れる、なんとも居心地の悪い不気味さが全体のトーンを占めています。要するにそもそもの起点となるアイデアが人間でないものからスタートしているからこそ、一層の不条理さが感じられるのであって、精神が破綻していようが人間の行動そのものがベースとなっている本作は、むしろ正常だと思えるほどに近しい存在へと変わってしまっているのです。

 映像が高画質になり、カット割りなどの技術が上昇したことも、悪い方向へと影響しています。また製作者の意図を覆い被すほどの過剰な照明やカメラワークが目立ち、スタイリッシュになった分、一つの作品というよりもシュトックハウゼンのMVに成り下がっているという印象を受けなくもないです。正直な話、『X-ファイル』の一場面と言われてもそんなに違和感がありません。

 もちろん悪い部分ばかりであるはずがなく、他の作家には真似できないような部分も多く存在します。精神をすり減らす女性が鉛筆を削る描写は、キリキリするような張り詰めた空気が取り巻いており、耳障りとも言える音楽と組んで強烈なタッグになっているのです。そしてストップモーションパートはやはり素晴らしく、以前よりもシンプルな作りの人形が、主人公にとっての現実世界そのものに歪みが生じていることを暗示していて、別種の気味の悪さを醸し出しています。

 実写をメインとした演出にシフトするのも、新たな試みとして悪いものではありませんし、個々の作品に適した方法として幅を広げていくことは間違いなく素晴らしいことです。しかしながら結局のところストップモーションであったことが兄弟の作品の魅力を多分に占めていたことを証明してしまったのも、また事実です。生々しさを併せ持った無機物という存在は、まさしく彼らだけが生み出せる悪夢に他ならないのですから。

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